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読書感想文を書くに場合、書き出し をどんなふうにしたらよいかで悩んでしまい、ぜんぜん先に進まない状態に陥りがちです。
読書感想文を書きやすくするための構成(何を+どの順番で書くか)には、いくつかのパターンがありますが「書き出し」にもいくつかのパターンがあります。
今回はその「読書感想文の書き出し」の部分に注目し、使いやすい8つのパターンをご紹介いたします。
読書感想文の書き出し方の例
自分なりの書き出し方が思いつかない場合は次に掲げる書き方を参考にしてみましょう。
①その本を選んだ理由からはじめる
②「カッコ書き」ではじめる
③印象に残ったフレーズではじめる
④読んで感じた「結論」からはじめる
⑤感想と同じ「名言」からはじめる
⑥疑問の投げかけからはじめる
⑦数字を利用する
⑧否定から入る
以下、いくつか例をあげましたので参考になれば幸いです。
「①その本を選んだ理由」の応用例
「その本を選んだ理由やきっかけ」は、感想文を読む側も関心のある点ですので、そこから入ることは自然な展開方法といえます。その際「読み手が関心を示す表現」を使えれば、それだけ感想文の評価も高められる訳です。
効果的な演出方法を2つご紹介いたします。
その本が自分にとって特別な本だから選んだ・・と伝わるようにする。
この方法は長年読み継がれているロングセラー本などに使える方法ですが、読み手が思わず「なに!?」と引きこまれる書き出しにできます。
例えば、次のような展開はいかがでしょうか。本の内容には一切触れずに、どのジャンルの本でも、いきなり 約300字 程度の分量をうめることができます。(^∇^)″
書けない人が、無理やり文字数を埋める「裏ワザ」的文章術といえます。
私がこの本を読むのは、実はこれが4回目になります。初めに読んだのは小学校6年の夏休みでした。当時の私には、使われている表現や内容が難しく感じられ、本来的に著者が伝えようとしていた大切な部分すら分からずに読み終えてしまいました。読解力の乏しい当時の私でしたが、どうにも心に残る登場人物のセリフがあったため、そのセリフを口にするにいたった背景を理解しようと、すぐに2度読み返した本だったのです。
年月を経た今回、改めて読み返えすことにしたのは、子供のころの私に影響を与えた思い出深い本だからという理由と、私にとって「感性の成長を知る手掛かり」になる唯一の本でもあったためです。(297字)
・・・このような「理由」があるのであれば、その本を選んだことに納得せざるをえません。また、これまでに読んだ回数を示すことで「4回も読んだ!?」と強く興味付ける効果を与えます。
読書感想文に限ったことではありませんが、文章に興味づけさせ、説得力を与える秘訣の1つが、⑦番目でも掲載しましたが「数字を用いること」なのです。
また、このような書き出しの利点には「過去の自分」と「今の自分」の2人の視点から感想を書くことができる点があげられます。つまり、本の同じ部分に対して「2人の自分」の感想を対比させながら書けるため、その後の文章の「文字数」も稼ぎやすくなるのです。(^∇^)″
「そんな私が偶然書店で手にしたのがこの本でした。」・・でつなげる。
読書感想文の冒頭部分で、その本との出会いを「運命的な出会い」であるような演出を使ってみましょう。
オーバーに言えば「この本との出会いが自分の人生のターニングポイント(転機)になった」と伝わるような表現を使い、読者の関心をひきます。
人間は「人生の転機となった原因や方法」を知りたがるものだからです。そのためこの表現方法をもちいることにより、読み手に、後の文章に何か書いてあるのかと「ワクワク感」を与えることができます。
この演出方法としては、次のような順序で書くとよいでしょう。
①まず、日頃の悩みや疑問、関心ごと、最近の出来事などの説明を書く。
②その後、次のような運命的出会いを感じさせる「接続の文」でつなげる。
「そんな私が、偶然書店で手にしたのがこの本でした。」
「そんなときに出会ったのが、この本でした。」
「そのとき偶然目にとまり、手にしたのがこの本だった。」
「そんな自分に、一つの光をあたえてくれたのがこの本でした。」など
そのあと・・
③「この本は~」で本の内容の簡単な説明に入る。
今年の二月、僕は自宅近くの公園で仔猫を拾った。真冬の寒さの中、放っておくとすぐに死んでしまいそうなほど、か細い声で鳴いていたのだ。猫を飼った経験がなかったため、仔猫にはどのような餌を与えていいものかも分からず、すぐに近くの書店に駆け込み、役に立ちそうな本を探した。知りたい情報は立ち読みで済んでしまったのだが、そのとき偶然、近くにあった本に目にとまり、手にしたのがこの本だったのだ。僕は仔猫の看病をしながら、その日のうちに一気に読み終え、これまでにないほどの大きな感動を得ることとなった。今になって思えば、その仔猫は、僕をこの本に引き合わせてくれた、まさに「招き猫」そのものだった。この本は、世界で初めて、動物が人に与える癒しの効果を・・・(317字)
つまり、ドラマチック性を高めるためのシナリオの王道である「そんな私」+「偶然の出会い」の演出を読書感想文に応用するわけです。
・・ま、ここまでドラマチックにしなくても「そんな私」を入れることにより、この本を選んだ理由を効果的に伝えることはできます。以下は標準的な「そんな私」を入れた書き出しの例です。
いつのころからか、私はニュース番組などで、○○の話題が取り上げられるたび疑問に思うことがあった。それは、なぜ○○とは○○なのかということである。そんな私であるため、感想文を書くため本を選ぶ際、真っ先に浮かんだのが、この○○について書かれたベストセラーを読んでみることだった。
通販のCMでも、ビフォー&アフターの「ビフォー」を必ず伝えますが、それと同じように、読む前の「あなた」をそれとなく書き出し部分で紹介することで、読了後の「あなた」の変化(成長・学び)を効果的に伝えることができるようになるわけです。
②「カッコ書き」から入る
「③印象に残ったフレーズではじめる」や「⑤感想と同じ「名言」からはじめる」の書き出しも、多くはこちらのパターンに当てはまります。例えば・・
「他人に善を尽くすとき人は自己に最善を尽くしているのだ。」マザーテレサの人生は、まさにこの言葉の~
など・・
このように、その本からの学びを一言で表す「短いフレーズ」や、要点を的確に伝える「格言」「名言」をまず書き出し、それに続けて「この本は、まさにこの教えを私の心に刻みつけてくれる本となりました。」・・のようにつなげます。
そして「なぜ、そのような学びを得ることになったのか」を「説明」していくスタイルにすれば、その後の文章は書きやすくなります。苦手意識のある「感想文」も「説明文」「解説文」だと思えれば楽に書けるのです。
この場を借りて、文章ベタの私が心の支えにしている言葉をご紹介いたします。
余談ですが、読書感想文全体を「説明」として考え、時系列的に(つまり時間の流れに沿って)3段階で「説明」する方法も、書きやすい文章の構成例といえます。
②読書中の説明→ 読んでいる最中に「感じたこと」「思い出したこと」についての説明
③読書後の説明→ 「反省したこと」「改善しようと決意したこと」についての説明
また「④読んで感じた「結論」からはじめる」も同じように、その後の文章を「その説明」調で書いていけるようになるため、書く苦労が少なく感じる文章術です。
学んだことの「結論」を先に掲げることで、読み手の「そう感じた理由を知りたがる心理」に働きかけることができます。人間には「理由を知りたがる心理」があるからです。
⑥疑問の投げかけから入る
「命は大切だといいます。ではなぜ戦争になるとあれほど簡単に人を殺せてしまうのでしょうか」など・・
こちらは「疑問を疑問のままにしておきたくない心理」に訴える方法です。「疑問に対して答えを知りたがる心理」といってもいいものですが、疑問の投げかけは、相手の頭に「なぜ?」の感情をいだかせるものであり、相手に対して「意図的に欲求をつくる行為」なのです。
簡単にできる心理操作的表現の1つですが、その後の文章(答え)に興味をもたせる効果があります。また、「この本は私に次のような問いを与えてくれた。それは・・」とする書き出しも同じ効果を与えることができます。
この本は、私に次のような問いかけを与えてくれた。それは「戦争を望む人間はいない。しかし太古の昔から科学が発達した今日にいたるまで戦争はなくなってはいない、それはなぜか」という問いである。物語は・・・
「⑦数字を利用する」の例としては・・
「この本を読むのは、実は4回目になります」の所でも紹介しましたので、その他の例としては・・
「私がこの本を買うのは、これが3回目になりました。」
「私がこの本の感想文を書くのは、これで2回目になります。」
「この夏、私は22冊の本を読破した。ひと夏の読書量としては自己新記録を~」や、
本文の中から発見した数(個数・回数)や、あなたの知っている統計的な事実などを引き合いに出すのも良いでしょう。読者の知らないような「具体的な数字」をあげることは、文章に「ニュース性」を与えることになります。
人間は自分の知らない新しいこと(ニュース)に対して反応を示す心理があります。つまり、文章に具体的な数字を盛り込むことで、読者に「なに!?」と、注目させる効果を与えることができるのです。
韓国では毎年約200万頭の犬の肉が食用として消費されています。また、日本ではクジラの漁に対し海外から強く非難されていることがニュースでよく取り上げられています。そればかりか、日本ではいたるところで「マグロの解体ショー」が実施され人気の「ショー」の一つになっています。このような事実を知るたびに、私は今日の人間の「食」に対する意識に違和感をもつようになりました。今回『いのちの食べ方』という本を題材に選んだのは、そんな私の、人間のもつ「食」に対する考え方を・・
⑧「否定から入る」の例としては・・
通常、読書感想文を書く指導においては、本を褒めるスタイルをよしとする傾向にあるため、感想文の読み手も「感動した」「驚いた」などの文字が散りばめらている感想を想定します。
そこで敢えて、本の内容や著者のセンスを否定すスタイルから入るのも、読み手に「インパクト」や「意外性」を出すことに成功します。
私は年間、約40冊ほどの本を読んでいるのだが、その中には面白い本もあれば、当然ながら「つまらない本」もある。その中で、この本は、どうにもこうにも私の心に響く部分がない「つまらない本」であった。
私にとって「心に響かなかった」という大事実の「感想」が現に存在するのであるから、それを偽るわけにはいかない。さらに加えれば「なぜこの本が他の多くの作品を退け課題図書に選定されたのか」という疑問さえ浮かんだほどだった。
しかし、そのことが私にとっての「心に響く本の条件」や自分に合った「読書のスタイル」を考えさせる切っ掛けを与えてくれることとなった・・・
ポイントとしては、結果として、この読書によって「つまらない本であったからこそ得られた学びや発見」を伝える内容にすることです。本の内容というより、本を切っかけとして得られたものや、発見できたものを書くという視点です。
また「つまらなかった」と認めることで、驚くほどスンナリ感想文が書けるようになるはずです。それは人間のもつ「批判好きの心理」が活かせる書き方だからです。(^∇^)″
実際、ほとんどの課題図書や名作が、読んでみたら「つまらない」「期待外れ」であるため、それに対して「感動した」「衝撃をうけた」といった 嘘 を書かずにすみ、心に素直な書き方であるともいえます・・(~_~;)
この書き方については、専門のページがあり、そのまま使えるテンプレートも書いてありますので、ご参照ください。
⇒ 読書感想文の書き方【つまらない本・面白くない本】編
また、著者の意見が特定の方向に偏っていると感じた場合、以下のような「アンチ側の意見」「挑戦的な感想」を書き進めるのもよいでしょう。難易度は高くなりますが、過去にたくさんの考察をしてきた人にはおすすめです。相当強力なインパクトを与えます。締めくくりは「自分とは真逆の考え方を知ることができ、そのような人と、これからどのように調整を図るべきかという新しい課題がみつかった」・・のようにすれば「学び」や「新たな課題の発見」につなげられます。
この本の内容に対し、たった2000文字というスペースで感想を書けという課題は私にはそうとう難しい。むしろ本一冊分でも書けるほどだ。本書を読み、私は著者の考え方の甘さに憤りさえ感じた。お会いして話す機会があるなら、私はおそらく相当きつく意見をぶつけるに違いない。この本は・・・
書き出しには「興味づける仕掛け」を施す
2020年の「読書感想文対策」には
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⇒ 読書感想文の書き方【つまらない本・面白くない本】編
⇒読書感想文におすすめの本【中学生・高校生の裏ワザ】
感想文は大変な課題ですが、なんとか頑張ってください(^o^)ノシ
参考にさせてもらいました
結構助かりました
(^-^)b